When studyin English gets tough, why don"t you try……

Devil's English 悪魔の英語術

アメリカ南部の映画 人種問題を考える映画 映画で英語学習

映画で英語学習:アメリカのBLMを考える映画8選(セリフ付)

更新日:

BLM…。すっかり認知度の高くなったこの三文字。「Black Lives Matter」の略です。

「matter」は、見過ごしてはならない、重要であるという動詞。つまり、BLMは、「Black Lives Matter」、「黒人の命を軽んじてはならない」という意味になります。

2020年5月に発生した白人警官による黒人男性ジョージ・フロイド氏殺害事件に端を発し、全米でProtest(抗議活動)が活発化、その動きは世界へと広まりました。

私たち日本にとっては、アフリカ系のいわゆる黒人に対する人種問題について、根本まで理解することはなかなか難しいです。

しかし、国際人として世界に飛び出していこうとするのであれば、少しでも勉強し、理解を深めるようにすべきではないでしょうか。

アメリカにおけるアフリカ系アメリカ人への差別問題を取り扱った力強い映画を8作品ご紹介します。

(このブログ内では、「黒人」という表現を使用させていただいています)

それでも夜は明ける

アメリカの黒人差別意識の根本、その起源は奴隷制度(slavary)です。16世紀からの奴隷貿易により、アメリカでは、アフリカの地から強制的に連れてきた人々を労働力として売買する奴隷制度が行われ、黒人奴隷たちは過酷な労働を長きにわたり強いられたのです。

奴隷制度はなくなりました。しかし、「白人=主人、黒人=従う奴隷」という構図で根強く概念は定着し、現在に至るというわけです。

とあるアメリカ人医師が、「黒人は白人より皮膚が厚く痛みを感じにくい、とアメリカの医学生やインターンの半数以上が信じている」というにわかに信じがたい調査データを紹介していました。「奴隷制度の時代、そう信じた方が、奴隷を扱うときに罪悪感を感じず都合がよかった。だからそのような考えが常識となり、感覚として根付いてしまった」のが理由だと言っていました。

私たち日本人は、このように文化的に根深いアメリカの奴隷制度についてどれだけ理解することができるでしょうか? 深く学ぶには時間が必要ですが、まずは奴隷制度について近年話題となった映画「それでも夜は明ける」を観てみましょう。

1840年代、「自由黒人」であったにもかかわらず拉致され、12年の長きにわたり奴隷として生きざるを得なくなった実在の音楽家ソロモン・ノーサップの体験記「12 Years a Slave」の映画化です。

作品データ

原題:12 Years a Slave(2013)
監督:スティーヴ・マックイーン
原作:ソロモン・ノーサップ
キャスト
  ソロモン・ノーサップ / プラット:キウェテル・イジョフォー
  エドウィン・エップス:マイケル・ファスベンダー
  ウィリアム・フォード:ベネディクト・カンバーバッチ
  パッツィ:ルピタ・ニョンゴ
  サミュエル・バス:ブラッド・ピット

あらすじ

奴隷ではない「自由黒人」であった黒人音楽家ソロモン・ノーサップは、愛する妻と子供と暮らしていたが、ある日突然に拉致され、奴隷として売り飛ばされてしまう。

最初に売られた先の農場主フォードは温厚で、ソロモンの広い見識を尊重するが、それを周りから妬まれてソロモンの立場が悪化し、フォードの資金難から別の農場主エプスのもとに売られてしまう。エプスは厳しいノルマを奴隷たちに課し、達しないと容赦なく鞭を振るうなど陰湿で残忍な性格で、エプスの農園での奴隷生活は過酷を極めた。

妻や子供に再会することを強く願い、ソロモンは、何とか状況を脱する方法を模索するが……

心に残るセリフ

Patsey: I went to Massa Shaw’s plantation!
Edwin Epps: Ya admit it.
Patsey: Freely. And you know why?
[she produces a piece of soap from the pocket of her dress]
Patsey: I got this from Mistress Shaw. Mistress Epps won’t even grant me no soap ta clean with. Stink so much I make myself gag. Five hundred pounds ‘a cotton day in, day out. More than any man here. And ‘fo that I will be clean; that all I ax. Dis here what I went to Shaw’s ‘fo.
Edwin Epps: You lie…
Patsey: The Lord knows that’s all.
Edwin Epps: You lie!

パッツィ: あたしはショウ様の農園へ行ってたんです
エプス: 認めるんだな
パッツィ: そうです。なせだかおわかりですか?
[パッツィは服のポケットからせっけんを取り出す]
パッツィ: これをショウ様の奥様からもらったんです。エプス様の奥様は体を洗うせっけんをくださらない。ものすごく自分が臭くて、もう吐きそうなんです。200キロ以上も綿花をとってるんですよ。来る日も来る日も。だれよりもたくさんです。体をきれいにしたっていいでしょう。ただそれだけなんです。だからそのためにショウ様のところへ行ったんです。
エプス: 嘘をつけ…
パッツィ: 主は全部ご存じです
エプス: 嘘だ!

このシーンはこちら。

奴隷のパッツィ役を熱演したのは、両親がケニア人という女優ルピタ・ニョンゴ。この映画でアカデミー助演女優賞を獲得しました。

注目の英語表現

黒人特有の発音と南部訛りの表現が多く、少しわかりにくいかもしれません。(カッコ)で標準的な英語表現を加えました。

Patsey: I went to Massa (Master) Shaw’s plantation!
Edwin Epps: Ya (You) admit it.
Patsey: Freely. And you know why?
[she produces a piece of soap from the pocket of her dress]
Patsey: I got this from Mistress Shaw. Mistress Epps won’t even grant me no soap ta (to) clean with. Stink so much I make myself gag. Five hundred pounds ‘a (of) cotton day in, day out. More than any man here. And ‘fo (for) that I will be clean; that (that’s) all I ax (ask) . Dis (this) here what I went to Shaw’s ‘fo (for).
Edwin Epps: You lie…
Patsey: The Lord knows that’s all.
Edwin Epps: You lie!

学習単語

plantation=(名詞)農園
admit=(動詞)認める
produce=(動詞)生み出す、取り出す
grant=(動詞)与える、授与する
gag=(動詞)吐く、猿轡をする
pound=(名詞詞)ポンド(1ポンド=約0.45kg)
(Five hundred pounds=約227キロ)
cotton=(名詞)綿花、コットン
day in, day out=一日中、毎日
lie=(動詞)うそをつく(横たわる)
Lord=(名詞)主、領主、主人

鑑賞レベル

英語難易度★★★★★
言語・暴力・性★★★★★
おすすめ度★★★★☆

黒人訛りと南部訛りがあるため、英語の聞き取りは少し難しいです。しかし、その分、スクリプトなどを見ながら聞き取り練習すると、幅の広い英語に対応する練習にもなります。

なにより、現代にも根深く残る差別意識の根底を垣間見ることができ、アメリカの歴史の重要な一部分を学ぶ貴重な時間になると思います。

グローリー/明日への行進

続いて、1965年にアラバマ州セルマで起こった「血の日曜日事件」を題材とした、こちらも史実に基づく映画です。

「I have a dream」の演説で有名な公民権運動の指導者マーティン・ルーサー・キング牧師を中心に、非暴力を貫いて黒人の権利を主張した人々を描いています。当然の権利を得るための信念、しかし代償となる大きな犠牲、その狭間での苦悩する指導者キング牧師の姿を通し、黒人差別問題への闘いを描くヒューマンドラマです。

キング牧師の演説には著作権あり、女流監督エイヴァ・マリー・デュヴァーネイと脚本のポール・ウェブが、苦心して本物のスピリットが伝わる演説のセリフを練り上げたそうです。

本作の主題歌「Glory」は、アカデミー主題歌賞をはじめ多くの賞を受賞しました。「ラ・ラ・ランド」に出演したシンガーのジョン・レジェンドの歌と、本作の重要な役どころを演じるコモンのラップが見事に調和して心を

作品データ

  • 原題:Selma(2014)
  • 監督:エイヴァ・マリー・デュヴァーネイ
  • 脚本:ポール・ウェブ
  • キャスト
    • キング牧師:デヴィッド・オイェロウォ
    • コレッタ・キング:カルメン・イジョゴ
    • ジェイムズ・ベベル:コモン
    • ジョンソン大統領:トム・ウィルキンソン
    • ジョージ・ウォレス:ティム・ロス
    • アニー・リー・クーパー:オプラ・ウィンフリー

あらすじ

1965年当時、黒人が有権者登録し投票を行うことは暴力や脅迫で妨害されていました。キング牧師は、この状況に抗議するため、1965年3月7日の日曜日に、アラバマ州の州都モンゴメリーまでの行進を予定します。あくまでも非暴力で行進する人々に阻止対し、州兵や保安官が容赦ない暴力で阻止に入ります。

無抵抗のデモ隊は激しい対抗に進むことができず、セルマの街まで負い戻されますが・・・

心に残るセリフ

Martin Luther King Jr.: [somberly yet passionately speaking to church congregation at a funeral] Who murdered Jimmie Lee Jackson? Every white lawman who abuses the law to terrorize. Every white politician who feeds on prejudice and hatred. Every white preacher who preaches the Bible and stays silent before his white congregation. Who murdered Jimmie Lee Jackson? Every Negro man and woman who stands by without joining this fight as their brothers and sisters are brutalized, humiliated, and ripped from this Earth.

Imdb

キング牧師: ジミー・リー・ジャクソンを殺したのは誰なのか?法律を悪用し脅迫する白人の法律家たちだろうか。偏見と憎しみを養う白人の政治家たちだろうか。聖書を説きながらも白人の教会で沈黙する白人の牧師たちだろうか。ジミー・リー・ジャクソンを殺したのは誰か?自分たちのブラザーやシスターが傷めつけられ、辱められ、この地上から引き剥がされている時に、闘いに名乗りを上げずただ傍観している黒人の我々ではないのか。

注目の英語表現

このセリフは、キング牧師の演説の特徴である「人の心をつかむ高度なテクニック」を見事にとらえています。

まず、Who murdered Jimmie Lee Jackson?(誰がジャクソンを殺したのか?)と問いかけます。

そして、その問いに対する答えを、仮定として三つリストにして提示します。

Every white lawman who abuses the law to terrorize.
Every white politician who feeds on prejudice and hatred.
Every white preacher who preaches the Bible and stays silent before his white congregation.

白人の法律家なのか、白人の政治家なのか、白人の牧師なのか?

その後、もう一度最初の問いであるWho murdered Jimmie Lee Jackson?(誰がジャクソンを殺したのか?)と問いかけます。

そして、最後にトドメを刺します。

「いいや、そうじゃない」というトーンを含め、先に提示した三つの仮定と同じ文の形を用いて「我々黒人なんだ」と主張するわけです。

Every Negro man and woman who stands by without joining this fight as their brothers and sisters are brutalized, humiliated, and ripped from this Earth.

この説教を聴いている人は、話の中身に思いを馳せ、考えを巡らせて、最後にハッと気づかされるわけです。

普段の会話で、相手を説得したいときに使える超絶テクニックですね。

学習単語

murder=(動詞)殺害する
lawman=(名詞)法律家、弁護士
abuse=(他動詞)痛めつける、(名詞)虐待
terrorize=(他動詞)~を怯えさせる
politician=(名詞)法律家
feed=(他動詞)~に食事(餌)を与える
prejudice=(名詞)偏見
hatred=(名詞)憎しみ
preacher=(名詞)説教師
preach=(動詞)説教する
congregation=(名詞)会衆
stands by=(自動詞)待機する
without=(前置詞)~なしで
brutalize=(他動詞)~に残忍な仕打ちをする
humiliate=(他動詞)~を辱める、~に屈辱を与える
rip=(他動詞)~を破る、引き剥がす

鑑賞データ

  • 英語難易度★★★★☆
  • 言語・暴力・性★★★★★
  • おすすめ度★★★★★

ロング・ウォーク・ホーム

1955年アラバマ州モンゴメリーで実際に起こった「バス・ボイコット運動」。これは歴史に残る非常に大きな黒人差別への抗議活動”Protest”のひとつです。

「ロング・ウォーク・ホーム」は、この運動をモチーフに、白人の視点から差別の気付きを淡々と描いていて、静かでありながらも強いメッセージを感じます。

映画のストーリーの背景となるバスボイコット運動とはどのようなものだったでしょうか?

当時、黒人はバス乗車時、後ろ側にしか乗車できませんでした。1955年のある日、アラバマ州モンゴメリーで発端となる事件が起こります。ローザ・パークスという一人の黒人女性が、黒人用の席に座っていたところ、運転手に白人に席を譲るよう指示されます。しかし彼女はこれを拒み、警察に逮捕されてしまうのです。これが「ローザ・パークス事件」です。

多くの黒人がこれに抗議し、公民権活動家キング牧師などの呼びかけに応じで、公営バスに乗車することを黒人層がボイコットし、「バス・ボイコット運動」が始まりました。

バスの利用者のほとんどが黒人であったため、バス事業を大打撃をうけ、その後、1956年に連邦最高裁判所がモンゴメリーの人種隔離政策は違憲であるとの画期的な判断を下しました。

「ロング・ウォーク・ホーム」は、この運動をモチーフに、黒人のみならず白人の視点からも、当時の人々の心情を描いていています。静かでありながらも不条理に対し強い怒りを秘める黒人。一方白人は、差別の気付きに愕然とする者と黒人の反発を許せない者に二分されてゆきます。

黒人の活動であるバス・ボイコット運動は、自宅で黒人メイドを雇っている白人の生活にも徐々に影響を及ぼしてゆきます。主人公の白人女性がこの騒動をきっかけに、それまで深く気にもかけていなかった黒人使用人の「人間性」に目を向けてゆくストーリーです。

最後のシーン、セリフは多くないのですが、強烈なメッセージに涙が止まりません。

「天使にラブソングを」でおなじみのコメディダイナマイト、ウーピー・ゴールドバーグが、この映画ではシリアスな役どころに挑み、非常に味わい深い演技を披露しています。

作品データ

  • 原題:The Long Walk Home(1990)
  • 監督:リチャード・ピアース
  • キャスト
    • ミリアム・トンプソン:シシー・スペイセック
    • オデッサ・コッター:ウーピー・ゴールドバーグ
    • ノーマン・トンプソン:ドワイト・シュルツ

あらすじ

メイドのオデッサは、勤め先の白人家庭へ毎日バスで通勤しています。黒人はバス乗車時、どんなに前の方がすいていても後ろ側にしか乗車できなかった時代です。そんなある日、ローザ・パークスという黒人女性が「前の席に座った」ため逮捕されるという事件が起こり、怒った黒人たちが抗議の証にバス乗車をボイコットする運動を始めます。オデッサも仕方なく徒歩で数時間かけて通勤することに。それを知った女主人のミリアムは、勤務に遅刻してほしくない一心で、彼女を車で迎えに行くことを思いつきますが……

心に残るセリフ

ナレーションから始まります。映画の中で小さな少女だったメアリー・キャサリンが、大人になって当時を振り返るナレーションです。

Her name was Odessa Cotter. I called her Dessie.  As best as anyone knows she was the first woman to rock me to sleep. There wasn’t anything extraordinary about her, but I guess there’s always somethin’ extraordinary about someone who changes and then changes those around her. That’s me

「彼女の名前はオデッサ・コッター。私はデッシーと呼んでいた。私を抱っこして寝かしつけてくれた最初の女性だということは間違いない。彼女は特に何かに秀でていたわけじゃなかった。けれど、やはり特別な何かを持つ人だったんだと思う。自分を変えることができて、周りの人間をも変える力があったのだもの。私もその一人」

続いて、ミリアムとオデッサが、雇い主とメイドとしてではなく、初めて人と人そしての会話をする場面です。

Odessa Cotter: Miss Thompson, I don’t want your children to grow up scared of mine.
Miriam Thompson: It’s just that a lot of the whites are scared. I’m a little scared.
Odessa Cotter: We’re all scared. What’s scarin’ you Miss Thompson, who you are, or what Mr. Thompson wants you to be?

Imdb

オデッサ:奥さん、私はあなたのお子さんたちが、うちの子供たちを怖がるようには育ってほしくないんです。
ミリアム:でも、たくさんの白人が今恐れてるわ。私も少し怖い。
オデッサ:誰だって怖いんです。奥さん、何を恐れているんですか?自分が誰であるか?それともご主人があなたに求めている姿でしょうか?

こちらのセリフは、1:36頃にでてきます。

注目の英語表現

I called her Dessie=私は彼女をデッシーと呼んでいました

第5文型(S+V+O+C)の形です。O(目的語)であるherとC(補語)であるDessieがイコールの関係です。

As best as anyone knows=誰もが知っている限りで

As(形容詞or副詞)as~の構文です。イディオムで覚えましょう。

as long as =~である限り
as far as=~の限り
as well as=~と同様
as soon as =~するとすぐに

学習単語

extraordinary=(形容詞)非凡な、普通ではない(ordinaryは普通)
guess=(他動詞)言い当てる、予想する、~と思う
grow up=(自動詞)育つ、大きくなる
scared=(形容詞)怖い (scared of~:~を恐れる)

鑑賞レベル

  • 英語難易度★★★☆☆
  • 言語・暴力・性★★★★☆
  • おすすめ度★★★★★

(上記のDVDは輸入盤ですのでリージョンコードにご注意ください。日本のDVDプレイヤーでは再生できない可能性があります)

ドゥ・ザ・ライト・シング

ニューヨークはブルックリンの下町で繰り広げられる人種間の対立と暴走。重いテーマをラップに乗せてむしろコミカルに描く異色作。アーティスティックな映像で描かれるブルックリンの人々の日常描写もまた魅力。

同じ地域に住む若者たちや住民たちが、自分たちを正当化するために排他的な考え方に陥り、徐々に人種ごとにいがみ合っていく様子が、恐ろしくも生き生きとしたセリフで描かれます。ジョージ・フロイド事件から暴動へ発展した2020年のミネアポリス暴動を予言するかのようなシーンもあります。

ののしり言葉満載で、ちょっと教材として問題はありますが、生きたアメリカの姿を垣間見て、きれいごとでは語れない人種問題の根深さを思い知らされる秀逸な作品です。

作品データ

  • 原題:Do The Right Thing(1989)
  • 監督・脚本:スパイク・リー
  • キャスト
    • サル:ダニー・アイエロ
    • ムーキー:スパイク・リー
    • ピノ:ジョン・タトゥーロ
    • ラジオ・ラヒーム:ビル・ナン
    • ラブ・ダディ:サミュエル・L・ジャクソン

あらすじ

猛暑のブルックリンのアフリカ系が多くを占める界隈。イタリア人が経営するピッツアリアや韓国人が経営するコンビニもあり、異人種が微妙なバランスで共存している。

恋人との間に赤ん坊もいるのにプータロー的な生活を送るアフリカ系のムーキーは、ピッツアリアで配達のバイトをしているが、暇を見つけてはサボってばかり。イタリア系の経営者サルと2人の息子ヴィトとピノにいつも文句を言われている。

サルの店は地元の黒人の若者のたまり場。しかし、集まるのは一癖も二癖もある若者ばかり。「黒人相手の商売なんだから、壁にはロバート・デ・ニーロじゃなく、マイケル・ジョーダンをのポスターを飾れ」と難癖をつけるバギンアウト。でかいラジカセをかついで爆音でラップを鳴らしながら店に来るラジオ・ラヒーム。

ある日とうとう、ラジオ・ラヒームの爆音ラップにサルがキレてしまい、彼のラジカセを叩き壊してしまう。それにアフリカ系の怒りが爆発し…

心に残るセリフ

Radio Raheem: Let me tell you the story of Right Hand, Left Hand. It’s a tale of good and evil. Hate: it was with this hand that Cain iced his brother. Love: these five fingers, they go straight to the soul of man. The right hand: the hand of love. The story of life is this: static. One hand is always fighting the other hand, and the left hand is kicking much ass. I mean, it looks like the right hand, Love, is finished. But hold on, stop the presses, the right hand is coming back. Yeah, he got the left hand on the ropes, now, that’s right. Ooh, it’s a devastating right and Hate is hurt, he’s down. Left-Hand Hate KOed by Love.

Imdb

ラジオ・ラヒーム:右手と左手の話をしよう。これは、善と悪の話だ。まずヘイト。それはケインが弟を氷に変えた手。次はラブ。この五本の指。まっすぐにソウルに届く。右手はラブ、愛だ。人生の物語はこう。静寂。一方の手がもう一方と闘う。左手がケツを蹴り飛ばす。右手のラブはもうやられちまった。 だが、もうちょいまて。右手はまだいける。いいぞ、奴の左手はロープの上だ。そうだいいぞ。破壊的な右が入った。ヘイト、傷んでる。ダウンだ。左手ヘイト、ラブにノックダウンされたぞ

注目の英語表現

このシーンでラジオ・ラヒームというキャラクターは、両手にKnuckle Dusterという金属のメリケンサック(?)を付けていて、右手のデザインが「LOVE」、左手が「HATE」の文字をかたどっています。

「LOVE vs HATE(愛と憎しみ)」を「左右」そして「善と悪」に見立てて対比、格闘技の試合をさせる体で、試合の様子をアナウンスしています。

登場するCain(カイン)は、アダムとイブの二人の息子で、カインはアベルを逆恨みで殺害し、しかも問われると「弟はどこへ行ったかなんて知らない」と言ったそうです。これが人類がついた最初のウソとされています。このスピーチでは、HATEの象徴にされていますね。

学習単語

tale=(名詞)物語
evil=(形容詞)邪悪の
ice=(他動詞)凍らせる(名詞)氷
static=(形容詞)静寂の
fight=(名詞)闘い
devastate=(他動詞)荒廃させる
hurt=(他動詞)傷付ける
KO=(他動詞)ノックアウトする

鑑賞レベル

  • 英語難易度★★★★☆
  • 言語・暴力・性★★★★★
  • おすすめ度★★★☆☆

アフリカ系の訛りのある英語がほとんどのため、少し聞き取りにくいかもしれません。また、相当にののしり合いますので、ご承知おきを(笑)

ちなみに、主人公のムーキーを演じているのが、この映画の鬼才監督であるスパイク・リー本人です。

評決のとき

ベストセラー作家ジョン・グリシャムのデビュー作の映画化で、ストーリー展開に引き込まれる手に汗握る裁判ものです。

黒人差別の色濃い南部ミシシッピ州のある街で、白人を射殺した黒人を弁護することになった若き白人弁護士の闘いを描いています。彼が戦った相手は強大な「差別」という敵だったのです。

今見ると超豪華なキャスト陣です。

作品データ

  • 原題:A Time To Kill(1996)
  • 監督:ジョエル・シュマッカ―
  • 原作:ジョン・グリシャム
  • キャスト
    • ジェイク:マシュー・マコノヒー
    • エレン:サンドラ・ブロック
    • カール・リー:サミュエル・L・ジャクソン
    • バックレー検事:ケヴィン・スペイシー
    • フレディー・コブ:キーファー・サザーランド
    • カーラ:アシュレー・ジャッド

あらすじ

幼い黒人の少女が白人の男二人に襲われる事件が発生する。被害者が黒人、加害者が白人である場合、判決は軽いものになると予測した少女の父カール・リーは、自ら制裁を加えるべく、あろうことか裁判所で犯人たちを射殺してしまう。

誰も引き受けたがらないカール・リーの弁護をすることになったのは、新米弁護士のジェイク。彼は、優秀な法学生のエレンの助けを得ながら、白人至上が常識の南部の司法という強大な敵に立ち向かう。様々な妨害の中、果たして裁判の行方は…

心に残るセリフ

(注意:少し残酷で強い表現が含まれます。ネタバレも注意)

Jake Tyler Brigance: [in his summation, talking about Tonya Hailey] I want to tell you a story. I’m going to ask you all to close your eyes while I tell you the story. I want you to listen to me. I want you to listen to yourselves. Go ahead. Close your eyes, please. This is a story about a little girl walking home from the grocery store one sunny afternoon. I want you to picture this little girl. Suddenly a truck races up. Two men jump out and grab her. They drag her into a nearby field and they tie her up and they rip her clothes from her body. Now they climb on. First one, then the other, raping her, shattering everything innocent and pure with a vicious thrust in a fog of drunken breath and sweat. And when they’re done, after they’ve killed her tiny womb, murdered any chance for her to have children, to have life beyond her own, they decide to use her for target practice. They start throwing full beer cans at her. They throw them so hard that it tears the flesh all the way to her bones. Then they urinate on her. Now comes the hanging. They have a rope. They tie a noose. Imagine the noose going tight around her neck and with a sudden blinding jerk she’s pulled into the air and her feet and legs go kicking. They don’t find the ground. The hanging branch isn’t strong enough. It snaps and she falls back to the earth. So they pick her up, throw her in the back of the truck and drive out to Foggy Creek Bridge. Pitch her over the edge. And she drops some thirty feet down to the creek bottom below. Can you see her? Her raped, beaten, broken body soaked in their urine, soaked in their semen, soaked in her blood, left to die. Can you see her? I want you to picture that little girl. Now imagine she’s white.

Imdb

ジェイク:(陪審員への最終弁論、被害者トーニャ・ヘイリーについて)皆さんにお話をしたいと思います。どうか目を閉じて聴いてください。自分自身の声に耳を傾けてください。さあ、目を閉じて。お願いします。これは小さな女の子のお話です。ある晴れた日の午後、お使いの帰り道、歩いているこの女の子を思い描いてください。突然トラックが猛スピードでやってきて、二人の男が飛び降りてきます。女の子を捕まえてそのまま近くの草むらへ引きずり込むと縛り上げ、衣服を剥ぎ取り、順番に女の子に乱暴します。酔っぱらった息と汗を振りまき、その無垢さも純粋さもすべてを打ち砕いたのです。小さな子宮を殺し、将来子供を持ち、自らの血を後世につないでゆく可能性をも殺しました。そして今度は彼女を的当ての練習台にしました。中身の入ったビール缶を彼女に投げつけ、骨に達するまでの傷を負わせ、その上に放尿までしたのです。そして吊るし。ロープが首に食い込み、唐突に空中に吊り上げられ、地面を探し足をバタつかせる。想像してみてください。枝が折れ、女の子は地面に叩きつけられます。男らは、彼女をトラックの荷台に乗せ、橋まで連れて行くと30フィート下の小川へ彼女を投げ落とします。女の子の姿が見えますか?レイプされ、傷めつけられ、尿や精液や自分の血にまみれ、放置された小さな体が見えていますか?この女の子の姿を頭に描いてもらいたいんです。想像してください。これが白人の女の子だと…。

筆者は先に小説を洋書でよみました。ジェイク役は、イケメンすぎてイメージがちょっと違いましたが、エレン役はサンドラ・ブロックがぴったりでした。著者のデビュー作とは思えない面白さで、没頭しすぎて駅で電車を降り忘れたことがあるほどです。

観てから読んでも、読んでから観ても面白いおすすめの一冊です。映画鑑賞とともに読書もいかがでしょうか?

  • 英語難易度★★★★☆
  • 言語・暴力・性★★★★★
  • おすすめ度★★★★★

フルートベール駅で

2009年の元旦に実際に起こった丸腰の無実の青年実際の事件を描いた秀作。

「丸腰で無抵抗の黒人が白人警官によって殺された」

そう聞くと、今やだれもがジョージ・フロイド事件を思い起こすことでしょう。しかし、「丸腰で無抵抗の黒人が白人警官によって殺された」のはフロイド氏が初めてではありません。統計によるとちょっと信じがたい数字が出てきて、もう少しじっくり調べないと…と疑ってしまうほどです。

暴動に発展した今回2020年の事件以前にも、同様の抗議暴動が何度も起こっています。記憶に新しいところでは、2014年に18歳の黒人少年が白人警官に射殺されたことに抗議するミズーリ州ファーガソンでの暴動がありました。さらに規模の大きなものとしては、1992年の「ロサンゼルス暴動」が日本でも大きく報道されました。発端は「ロドニー・キング事件」と呼ばれる警察官による黒人男性暴行殺害事件に対する抗議運動で、怒る人々が暴徒化し収拾がつかない状況が1週間近く続きました。

今回ご紹介する映画も、残念なことに実話で、その後やはり大きな抗議活動に発展したそうです。

「フルートベール駅で」は、2008年の大みそか、警官の手によって、わずか22年で無念にも生涯を終えることになったある青年の”最期の一日”を追った映画です。彼と周りの様々な人とのかかわりと言動から、一人の人間の死がいかに悲しいものであるかが浮き彫りにされ、まさにBlack Lives Matter、そしてAll Lives Matterと、命の重みについて深く考えさせられる物語です。

作品データ

原題:Fruitvale Station(2013)
監督/脚本:ライアン・クーグラー
制作:フォレスト・ウィティカ―
キャスト
  オスカー・グラント:マイケル・ジョーダン
  ソフィア:メロニー・ディアズ
  ワンダ:オクタヴィア・スペンサー
  タティアナ:アリアナ・ニール
  カルーソ警官:ケヴィン・デュアランド

あらすじ

2008年の大みそか、22歳のオスカーの心には様々な思いが巡っていた。

恋人と口論してしまったし、職場復帰にも失敗した。一からやり直したいが前途は多難。簡単にマリファナでも売ってお金にしようかとも考えたが、果たしてそれでよいのかと、自問していたのだ。

それは奇しくも母の誕生日、オスカーはそれまでの自分を振り返り、母にとってより良い息子に、恋人にとってより良い伴侶に、そして愛する娘にとってより良い父親になろうと決心する。

母親の誕生パーティーに参加した後、心機一転の記念にサンフランシスコのニューイヤー花火を観に行くことにするオスカー。そしてその帰り道、電車内の喧嘩に巻き込まれたオスカーは、フルートベール駅のプラットホームで駆け付けた警官に背中から撃たれ、短い生涯を終える。

普通に生きている普通の市民に、なぜこのような理不尽なことがおこるのか……、映画は、一人の青年の死をめぐって揺れ動くアメリカの現実を浮き彫りにする。

心に残るセリフ

Tatiana: Nooo! Don’t go. I’m scared.
Oscar Grant: Scared of what?
Tatiana: I hear guns outside.
Oscar Grant: You know what, baby? Those are just firecrackers. You’ll be safe inside, with your cousin.
Tatiana: But what about you Daddy?
Oscar Grant: Me? Baby, I’ll be fine.

タティアナ:やだー!行かないで。怖いよ
オスカー:何が怖いの? 
タティアナ:おそとで銃の音が聞こえる
オスカー:いいかい?あれは花火の音だ。おうちの中なら安全だよ。いとこと一緒にいればいい
タティアナ:じゃあ、パパはどうなの? 
オスカー:パパかい?パパは大丈夫だよ。

注目の英語表現

この会話の中で「what」を使った表現が3度出てきます。

1)Scared of what?

「scared of ~」は「~を怖がる、~が怖い」でbe動詞の後ろに来ます。たとえば、「私は蛇が怖いんです」なら「I am scared of snakes」ですが、口語で尋ねる時「蛇が怖い?」=「Scared of snakes?」と略されることがよくあるのです。

「Scared of what?」も正しい文章は、本来「What are you scared of?」(あなたは何を怖がっているの?)となります。

2)You know what, baby?

小さな娘さんに「Baby(愛しい子)」と呼び掛けている優しいお父さんの言葉ですね。

「You know what?」は、直訳すると「何だか知ってる?」ですが、これは何か大事なことを伝える前置きによく使う「いいかい?あのね」や「ねえ、知ってる?」という「今から何なのか説明するから聞いてね」という呼びかけの慣用表現です。

3)what about you Daddy?

「あなたはどうなの?」と尋ねる時の慣用表現です。

「おうちの中は安全だよ」といったお父さんに対し、「(じゃ、おそとに行っちゃう)パパはどうなの?」というタティアナちゃんの疑問です。

タティアナちゃんとのこのやり取りが、オスカーの運命を知る者にはとても切ないですね。

学習単語

scared=(形容詞)怖い
gun=(名詞)拳銃
outside=(副詞)外で、屋外で
firecracker=(名詞)爆竹
safe=(形容詞)安全な
inside=(副詞)内側で、屋内で
cousin=(名詞)いとこ
fine=(形容詞)良い、快適な

鑑賞レベル

英語難易度★★★★☆
言語・暴力・性★★★★★
おすすめ度★★★★☆

下の映像は、実際に事件現場に居合わせた目撃者が撮影した映像があり、映画のシーンがいかに真実に忠実に再現されているかがわかります。

オスカーを撃った警官は解雇されましたが、罪は業務上過失致死で禁固11か月だったそうです。

事件が起こった鉄道会社BARTは、警備員のオスカーに対する初動対応について非難されていましたが、この映画が公開されるとき、映画の宣伝ポスターをフルートベール駅構内に張り出し物議をかもしたそうです。BART側は誠意であるとコメントしたそうです。

ラビング 愛という名前のふたり

愛する人と結婚する。そんな当たり前のことができなかった時代がアメリカにはありました。1960年代のアメリカ南部には、異人種間の結婚を認めないという法律があり、結婚できなかったカップルも多かったことをご存じでしょうか?

「Loving」という姓の白人男性と黒人女性の夫婦が「愛することに肌の色は関係ない」ことを主張して、州を相手に結婚の権利を闘った実話です。

作品データ

  • 原題:Loving(2016)
  • 監督:ジェフ・ニコルス
  • キャスト
    • リチャード・ラビング:ルース・ネッガ
    • ミルドレッド・ラビング:ジョエル・エドガートン
    • バジル判事:ウィル・ダルトン

あらすじ

1960年代のバージニア州、白人の大工リチャード・ラビングは幼ない頃から顔なじみであったミルドレッドと恋に落ちます。やがてミルドレッドが妊娠し、若い二人は結婚することに。しかしひとつ問題がありました。ミルドレッドが黒人であるということ。当時のバージニア州では異人種間の結婚が州法で禁じられていたことから、二人はそれが認められているワシントンD.C.まで出向き結婚の誓いを立てます。

子供も生まれ、幸せな結婚生活を送っていたある夜、突然に二人は保安官に逮捕されてしまいます。州法違反です。離婚するか、故郷を捨てるかという選択を迫られた二人は、故郷で愛を貫くためある行動を起こすことに…

心に残るセリフ

COURT SECRETARY:…the said Richard Perry Loving, being a white person and the said Mildred Dolores Jeter being a colored person, did unlawfully and feloniously go out of the state of Virginia, for the purpose of being married in the District of Columbia on June 2nd, 1958, and afterwards returned to and resided in the County of Caroline, State of Virginia, cohabitating as man and wife against the peace and dignity of the Commonwealth.
JUDGE BAZILE:Stand.
JUDGE BAZILE (CONT’D):How do you plead?
RICHARD:Guilty.
MILDRED:Guilty.
JUDGE BAZILE:The court doth accept the pleas of guilty and fix the punishment of both accused at one year each in jail.

scriptslug.com

裁判所書記官: …白人であるリチャード・ペリー・ラヴィングおよび、有色人種であるミルドレッド・ドロレス・ジェターは、1958年6月2日、法に反する重罪であることを知りつつ、ワシントンD.Cにおいて婚姻を結ぶことを目的に、バージニア州を脱出した。その後州内に戻ると、バージニア州キャロライン地区に居を構え、公共の平和と尊厳に反する行為として、夫と妻として同棲生活を送ったものである。
バゼル判事:起立。被告らの申し立てを述べよ。
リチャード:有罪を認めます
ミルドレッド:有罪を認めます
バゼル判事:裁判所は、有罪の申し立てを受け入れ、被告両名それぞれに禁固1年の刑の確定を言い渡します。

注目の英語表現

a colored person=有色人種の人

「黒人」という表現は「black」ですが、アフリカ系のみならず、ラテン系やアジア系、ネイティブなど、つまり「白」でない人という意味。白人至上の考え方が反映された表現だということです。

How do you plead?=どのように申し立てますか?

裁判用語で「plead」がよく使われます。「申し立てる」「弁護する」「言い訳する」という意味になります。このフレーズの後でラビング夫妻は二人とも「 guilty(有罪)」と言っています。「plead guilty」つまり「有罪と認め、裁判を争わない」という司法取引のような駆け引きが後ろにあるということです。

学習単語

secretary=(名詞)書記官、秘書
colored=(形容詞)有色人種の
unlawfully=(副詞)違法に、法に反して
feloniously=(副詞)重罪を犯して
purpose=(名詞)目的
afterwards=(副詞)後ほど、後になって
reside=(動詞)居住する
cohabitate=(動詞)同居する
Commonwealth=(名詞)州(←米国バージニア、マサチューセッツ、ペンシルバニア、ケンタッキーの場合)
plead=(他動詞)申し立てる、弁護する(米:pled、英:pleaded)
guilty=(名詞)有罪
doth=(助動詞)する=do
accept=(他動詞)受け入れる
plea(s)=(名詞)嘆願、懇願
fix=(他動詞)定める、確定する(自・名あり)
accused=(名詞)被告人(形容詞)告発された
jail=(名詞)刑務所

1950年代の終わりから60年代にかけてのお話ですから、ほんの60年前のことです。人種の「常識」はまだ根深くアメリカ社会に残っていることを感じつつ、差別を受ける当事者として闘ってきたごく普通の人々の姿を通し、そういった歴史背景に心を砕いてみる良い機会になればと思います。

鑑賞レベル

  • 英語難易度★★★★☆
  • 言語・暴力・性★★★★☆
  • おすすめ度★★★★★

ミシシッピ・バーニング

アメリカの問題を描いていますが、イギリス出身の鬼才アラン・パーカーが監督した作品です。

1964年ミシシッピ州で実際に発生した黒人公民権活動家の行方不明事件を題材にした社会派ドラマです。解明のため、調査を行う2人のFBI捜査官の闘いを描いており、白人至上主義のKKKの存在が生々しく描かれています。

作品データ

  • 原題:The Long Walk Home(1988)
  • 監督:アラン・パーカー
  • キャスト
    • アンダーソン:ジーン・ハックマン
    • ウォード:ウィレム・デフォー
    • ペル夫人:フランシス・マクドーマンド

あらすじ

ミシシッピ州の町で発生した公民権活動家の行方不明事件を解明するため二人のFBI捜査官が町を訪れる。たたき上げのアンダーソンは南部の事情に詳しいが、エリートで若いウォードは差別の実態を理解しておらず、捜査は新たな被害を引き起こしてしまう。

徐々に人々の裏の素顔を知る二人は、根深い黒人差別の現実を目の当たりにしてゆく・・・

心に残るセリフ

Mrs. Pell: It’s not good for you to be here.
Agent Anderson: Why?
Mrs. Pell: It’s ugly. This whole thing is so ugly. Have you any idea what it’s like to live with all this? People look at us and only see bigots and racists. Hatred isn’t something you’re born with. It gets taught. At school, they said segregation what’s said in the Bible… Genesis 9, Verse 27. At 7 years of age, you get told it enough times, you believe it. You believe the hatred. You live it… you breathe it. You marry it.

Imdb

ペル夫人: あなた方はここにいるべきじゃないわ
アンダーソン捜査官: なぜ?
ペル夫人: 醜いわ。すべてがほんと醜い。こんなところに住んでるってどんな感じかおわかり?人は私たちを偏見の塊の人種差別主義者としか見ていないわ。黒人への憎しみは生まれ持ってのものじゃない。教え込まれるの。学校でね。聖書の創世記9節の27章に書いてあるのは、人種を隔離せよってこと。そう教わる。7歳にしてね、もう何回も繰り返しそれを教え込まれるのよ。信じるわよね。だから黒人を憎む人間ができる。そういうのと生き、そういうのと同じ空気を吸い、そういうのと結婚する。

鑑賞レベル

  • 英語難易度★★★★☆
  • 言語・暴力・性★★★★★
  • おすすめ度★★★★★

まとめ

いかがでしょう。

アメリカにおける黒人差別の問題は、今現在も日々の現実として残っているわけです。国際人として生きていくため、「わかんないや」で済ますことなく、心を少しでもこういった問題に寄せ、自分の問題として考えていむ機会にしてはいかがでしょうか。

お紹介した映画が、少しでもそのお役に立てれば何よりです。

また、色々なジャンルの映画をセリフ付きでご紹介していきますので、お楽しみに

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